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Column ―弁護士の眼―

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2024.12.26

最近の裁判例から

 平成30年の民法改正で、新たに民法第1050条に特別寄与料という制度が設けられました。
 これは、相続人ではない被相続人の親族が(例えば被相続人の奥さんなど)被相続人の療養看護に努めるなどの貢献を行った場合、その貢献に応じた額の金銭の支払いを請求できることになりました。
 この制度ができるまでは、例えば相続人である夫に代わって被相続人である夫の親の療育看護に努めたとしても、妻は相続人ではないので遺産の分配を受けられないという不公平が生じていました。
 さて、今回ご紹介する裁判は、被相続人が、二人いた子のうち、一人に全財産を相続させるという遺言をしていた(もう一人の相続人であった被告には相続分がないことについては、争いはありません)場合に、唯一の相続人である子の妻が、特別寄与料の負担を、相続人ではなくなった者、即ち被告に請求できるかが争われました。
 被告は、遺留分侵害額請求権を行使したことから、遺留分として財産をもらうのであれば、相続人の妻は、特別寄与料も負担すべきだと考えて、このような裁判を起こしたものと思われます。
 この争いは、最高裁まで持ち込まれ、最高裁は妻の請求を認めませんでした。
 その理由は、民法1050条の5項で、相続人が数人ある場合、各相続人の特別寄与料の負担割合は、法定相続分によることとされていることからすると、相続分がない以上、遺留分侵害額請求権を行使したとしても、特別寄与料を負担しないと解するのが相当としました。
 当事務所では、相続に関する相談をお受けしておりますので、是非ご相談下さい。
                (八十島 保)

2024.11.20

最近の裁判例から

前回に引き続き面会交流の問題です。
 元夫が元妻に対し子との面会交流を求めたものの、調停では話し合いがつかず、家庭裁判所に対し審判を求めました。
 家庭裁判所は、父が子と直接面会することを認めず、電話やメールなどを利用するいわゆる間接交流しか認めませんでした。そのような判断をした理由は、
 ①子が慣れない相手に対して不安が喚起されやすい特徴を有して
  いる
 ②父親が子と接触した期間が短く、子に負担をかけさせないため
  には、母親の協力を得ながら、徐々に慣れさせる必要がある
 ③母親の父親に対する不安感が根強い
 ④子が日常的に夜中に泣いて目を覚まし、母親に精神的体力的に
  余裕がない
 ⑤この状況で、直接交流を認めると、母親の養育状況の低下が生
  じる恐れがある
といったものでした。父親はこの判断に納得できず、異議申立(抗告)しました。
 その結果裁判所は、直接交流の可否について、審理を充分に尽くしていないとして家庭裁判所に差し戻す決定をしました。このように判断した理由は、
 ①父親が第三者機関より支援が可能である旨の回答を得ている
  第三者機関を利用すれば、母親の協力は一定程度限定されたも
  のになると考えられる
 ②子は保育園に通園していて、この特徴についても周囲の配慮に
  より克服でき、あるいは成長に伴い自然と収まる可能性がある
 ③父親は母親に対し、直接の暴力に及んだり、合理的な理由のな
  い暴言ないし継続的ないし支配的な精神的暴力があったとは認
  めることはできない
 ④母親には、監護補助者がいる
 ⑤以上の事情があるから、試行的面会交流の実施を積極的に検討
  し、その結果も踏まえて、子の福祉の観点から慎重に判断すべ
  きである
といったものでした。
 本来試行的面会交流も含め、面会交流の可否ないし、あり方については、調停の段階で詰められたはずで、そうすれば抗告されさらに差し戻されるといったようなことはなかったと思われるのですが、それはさておき、一般的に裁判所は面会交流の実現には積極的な判断を示す傾向があります。裁判所がそのように考える理由として、父母が離婚しても子にとって親であることに変わりはなく、別居親からの愛情も感じられることが子の成長のために重要であるからというところにあるようです。しかし、そのためには父親と母親がお互いに、その立場を尊重できるような関係性を構築していることが大前提と思われます。
 そこがうまくいっていないにもかかわらず、面会交流を認めるのはいかがなものかという感想をもっています。共同親権も同じ問題だと思っています。
 当事務所では、夫婦間の問題も取り扱っておりますので、ご相談下さい。
                 (八十島 保)

2024.11.01

最近の裁判例から

 離婚するに際し、子の面会交流について調停がなされたもののまとまらず、審判による決定がなされ、親権者である母親は、父親と子の面会交流を原則として月2回(第1日曜日と第3日曜日、但し、これ以外にも特別の日を認める)実施すべきこと等が命じられました。
 ところが、上記決定のとおり面会が実施されていないとして、父親は母親に対し、子との面会交流を実施させるよう求めるとともに、それでも面会を実施させなかった場合には、1回あたり10万円の支出を求める(これを間接強制といいます)裁判を起こしました。
 これに対し、母親側は、まず面会交流の条件等を変更すべく、調停の申立をするとともに、間接強制の裁判に対しては、面会交流の実現には努力しており、間接強制を強いることは過酷執行であり、権利の濫用であると主張していました。
 まず母親から起こした面会交流の条件等の変更は、これまた審判に代わる決定により認められています。
 そこで裁判所は、面会交流の条件等が変更になったことから、それ以降については、間接強制は認められないと判断しました。
 次に新たな決定が出る以前については、やむを得ない事情があって面会交流を実現できなったとか予定を変更せざるを得なかったといった事情は認められないとして権利の濫用との主張を認めず、1回あたり3万円の支払いを命じました。
 当事務所では、夫婦間の問題も取り扱っておりますので、ご相談下さい。
              (八十島 保)

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2024.12.25

年末年始の休業について

本年の営業は12月27日(金)正午までとなります。
新年は令和7年1月7日(火)午前9時より営業します。

2024.08.08

夏期休業のお知らせ

令和6年8月13日(火)・14日(水)は休業させていただきます。

2020.05.11

新型コロナウイルスの影響について

 事業者の皆様は、現在の新型コロナウイルス及びこれに伴う緊急事態宣言により、多大な影響を被っておられると思います。
 このような時には、収入を確保し、支出を抑制し、正常に戻るまで資金繰りの目途をつけることが一番重要です。
 その入りと出について、お悩みはありませんか。金融機関や取引先との交渉がうまくいかないということはありませんか。またそもそも資金繰りをどのように確保してよいか悩んではいませんか。
 これまで弁護士に相談したことがない方もこのような緊急事態ですので、是非、我々弁護士を利用してみて下さい。
この関係の相談には、相談料無料で対応します。

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