Renkei日記 - 八十島法律事務所

2011-11-26 Sat

姜尚中・中島岳志 「日本」 (河出文庫)


 元本のタイトルは、「日本 根拠地からの問い」でした。なぜ「根拠地」なのかというと、現代の日本の人々は、単なる労働環境やセーフティネットの喪失ではなく、「生きる場所(=トポス)」を喪失してしまっているのではないか、それを時の政治家たちは、排外的ナショナリズムと新自由主義によって埋め合わせをしようとしているのではないのか、という問題意識から、地方、熊本、天皇、右翼、保守、民族、文学、戦後という視点から、パトリ(=故郷、原郷)をさぐり、トポスの再構成を試みようとしたものです。
 さて元本の元となった対談から4年後になされた対談が、この本に納められていますが、最初の対談当時より、さらに政治に対するシニシズム(さめた気持ちあるいはしらけた気分)が蔓延している状況の中で、結論めいたものはないのですが、「過去を遡行しながら未来を見つめていくことが重要である。」としています。そして、これからの共同体は、異質な存在を内包していかなければならないとしています。

2011-11-26 Sat 10:47 | 新刊本

2011-11-26 Sat

長谷川郁夫 「本の背表紙」  (河出書房新社)


 長谷川氏は、今はなき小沢書店の創立者で、小沢書店の本は、今も人気があります。その長谷川氏が、地方紙に連載されていたものをまとめたものです。
 「失われた記憶、時の巡りのなかに置き去りにされた言葉を発掘する、あるいはたんに私一個の想念の中で薄れていく言葉を思い起こす、そんな試みであり、生前に肉声を聞くことのできた作家や詩人の著作に見出したい」という思いで書かれた本です。
 中で印象深かったのは、田村隆一について、「何ヶ月もの間、肉体の限界まで飲み続けては、2,3週間入院して、点滴暮らしとなるのだった。見舞いに行くと、ドライ状態の詩人は、人間嫌いの別人になっていた。」という一節です。 

2011-11-26 Sat 09:00 | 古本

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