Renkei日記 - 八十島法律事務所

2013-05-29 Wed

清水昶 「詩人の肖像」 (思潮社) 1981年8月1日刊


 これは、清水が飯島、鮎川、正津、長谷川、北村、吉本、中桐、金、佐々木、吉増、吉原、荒川、田村の13人の詩人にインタビュ−したものをまとめたものです。この本を出した理由について、あとがきでこのように書いています。
 「この当為のない時代において、詩もまた頽落の一途を辿っているかに見える。現に、きらりとひかる一篇の詩に出会うことは、まれになった。いったい詩人たちは何を現にかんがえているのだろう、といった疑問からこのインタビューをはじめた。」
 はたして疑問は解けたのでしょうか。例えば田村隆一についてはこんなことを書いています。
 「人間にとってもっともマイナスである感情にちかづくことによって、生を逆照してみせるほか、この近代の生の様相の複雑さを解くことができなくなっている。それをもっとも巧みに詩化した詩人が田村隆一ではなかったか。」
 

2013-05-29 Wed 22:32 | 古本

2013-05-28 Tue

田中眞澄 「本読みの獣道」 (みすず書房) 2013年2月18日刊


 この著者は、同じくみすず書房から「ふるほん行脚」という本を出していて、日本各地の古本屋や購入した古本について綴ったエッセイを出しています。
 この本はその完結編ということですが、昨年12月にお亡くなりになられたようで、亡くなる直前までの原稿が収められています。
 とても共感できる文章を紹介します。
 「私は街を歩く。毎日のように。そして古本屋があれば覗いて見る。遠出をしたときや、旅先でも、古本屋を見つけるのが楽しい。どうせ廉価の本しか買わないのだが、活字に目をさらすと生きている気分になる。他人に無用な雑書でも、私には精神的な掘り出し物であったりもする。」

2013-05-28 Tue 19:48 | 新刊本

2013-05-27 Mon

早川義夫 「いやらしさは美しさ」 (アイノア) 2011年9月20日刊


 「日常で歌うことが何よりもステキ」に続くエッセイ集です。あとがきから引用します。
 本書の内容は、音楽とは何か、生きるとは何かをテーマにしたつもりなので、(この本のタイトルはー引用者注)なおさら落ち着かない。それとも本当のことというのは、誤解されるように出来ているのだから、これでいいのだろう。
 言葉の使い方が間違っているかもしれない。しかし、読んでくださった方にはきっとわかっていただけるだろう。「いやらしさは美しさ」は願いであって、生きていく上でもっとも大切な力、生命力なのだ。

2013-05-27 Mon 20:45 | 新刊本

2013-05-22 Wed

三輪正道 「残影の記」 (編集工房ノア) 2011年11月14日刊


 著者は、きちんとした会社(元は某公団だった)の社員ではありますが、うつ病で仕事をよく休みます。またお酒も大変好きなようで、実によく飲む話が出てきます。
 この本はそんな日常を綴ったエッセイと小説からなっています。
 おやっと思ったのは、1984年の梅雨のころ、川崎彰彦の「夜がらすの記」に出会い、かつてない感銘を受け、作者に会いに行ったというところです。その後川崎が出していた「たけやぶ」という小雑誌に寄稿するようになり、やがて自分も文章を書くようになるのでした。

2013-05-22 Wed 19:09 | 古本

2013-05-21 Tue

坂崎重盛「粋人粋筆探訪」 (芸術新聞社) 2013年4月5日刊


 これもいわゆる古本ものの1冊です。戦争が終わり、人や社会は、それまで押さえつけられていた本来の人間性を取り戻そうとしていました。そうした時代背景から、軟派系随筆が多数出版されていた時代がありました。今でも古書展や古本屋に行くと、結構置いてあります。それだけ数多く出回ったということでしょう。余り値の張るものはありません。この本はそうした本を書影とともに紹介したものです。
著者は、「戦後に、なんであんなオカシな、魅力的な人物たちが打ちそろって登場したのだろうという問いが、この本を書かせた気がする、要するに憧れた。」と書いています。
この本でも紹介されている高田保の「ブラリひょうたん」は持っているので、いつか読もうと思っています。

2013-05-21 Tue 19:32 | 新刊本

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