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2012-06-01 Fri
恩地孝四郎「日本の憂愁」(龍星閣) 昭和30年10月30日刊
恩地は、昭和30年6月3日に亡くなりますが、そのわずか4ヵ月後に出たのがこの本で、彼の残した版画や詩で編まれています。彼の「萩原朔太郎」という詩の一部を紹介しておきましょう。
言葉が言葉をのりこえて感情が宙がえりする、
人生が足場を失って魂が転落する。
たった一つの真実さへ、それが虚偽のヴェールにつつまれてしまひ、
痴呆になった網膜が光を拡散し果てる。言葉は反射でしかない。
しかるに詩は言葉にこきつかはれてる。詩もまた虚妄である。
(朔太郎はその虚妄から虚無をつかんだ、夢のやうにつかんだ)
ちなみにこの本に、恩地の版画を頒布するとのお知らせが入っています。例えば、この本の表紙に用いられた「過去」(1950年作)は、なんと3000円だそうです。
2012-06-01 Fri 18:36 | 古本
2012-06-01 Fri
池内紀「恩地孝四郎一つの伝記」(幻戯書房) 2012年5月11日刊
恩地孝四郎は、詩人であり、版画家であり、萩原朔太郎の「月に吠える」を装幀した、装幀家としても知られています。この本は、一つの伝記となっていますが、著者は、作品と時代を通じて、十分にひとりの人間の生涯はつづれるとの考えから、彼の私生活の記述はほとんどありません。
大正から昭和にかけてのモダニズムに興味のある人は、ぜひお勧めですね。
この本のカバーは、恩地の「赤について」という作品と「自分の死貌」という作品が使われており、凝った装幀がなされています。また、装幀資材についても言及されていて、こだわりが感じられます。
2012-06-01 Fri 18:31 | 新刊本
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