Renkei日記 - 八十島法律事務所

2012-11-07 Wed

岡崎武志 「上京する文學」 (新日本出版社) 2012年10月25日刊


 著者は、故郷をあとにした作家たち、もしくは上京する若者を描いた作品たちを「上京者」という視点から読んでみたもの、最終的には「読書のすすめ」を目ざしたと書いています。これはなかなかおもしろい視点でまとめましたねという感じです。
 啄木については、「家族や故郷を捨て、東京という都市で一人暮らしをする若者の『心の姿』を短歌に託した。」とし、フォークソング歌手になぞらえたりしています。また賢治については、井上ひさしの「つねに自分の可能性は東京に出たらあると思っていたふしがある。」という言葉を紹介しています。太宰については、「東京に向かうことはむしろ下降に働いた。東京から離れるとき、彼の精神状態はいくぶん上昇していく。しかし上昇するとき、太宰の太宰たるべき創作力は弱まっていく。太宰はけっきょく上京するしかなかったのである。」。これなど就中白眉かなと思います。
 続編を期待したいところです。

2012-11-07 Wed 17:03 | 新刊本

2012-11-01 Thu

山田稔 「コーマルタン界隈」 (編集工房ノア) 2012・6・1刊


 元は、「文藝」に掲載されていたもので、81年9月に河出書房新社から刊行され、89年9月に新たな一篇を加えみすず書房から出されたものを、今回、元の河出版に戻すとともに、いくつかの加筆修正をおこなったとあります。
 コーマルタンとは、パリの一画にあり、「私流にいえば、昼間、百貨店目指して方々から押寄せて来た人並みが溢れ出て流れ込み日暮れとともに汚物を残して退いて行く、まるでどぶ川のごとき場所であった。」とあります。
 主人公は、日本からやってきて、コーマルタンに住み、大学で日本語を教えています。夜は売春婦も出没し、その一人との交流も描かれます。また、自分に冷たくされた男の悲しみを悲しんでいる女の話もあります。こうした人物造形は、異国ならではのものでしょう。

2012-11-01 Thu 17:52 | 新刊本

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