Renkei日記 - 八十島法律事務所

2014-02-01 Sat

小檜山博 「人生という旅」 (河出文庫) 2013年5月20日刊


 著者は、あとがきで、「初めは自分の心の底にある虚栄や見え、気取りや愚かさをさらけ出すことで己を見つめ直すつもりだったのが、書き終わってみると、ぼくが生まれてからこれまで、ぼくの人生を豊かに形づくってくれたたくさんの人々の善意に気づく旅になっていた。」と書いています。
 講演で人生とは何かといった話をしていると書いて、著者が高校生のときに父親から言われたことを書いています。
 夕食時に、何かの折に、「地球は丸い」と言ったところ、父親は、「高校へ行ったぐらいで、いいかげんなことを言うもんでない。」と言ったそうです。そこで著者が「本当なんだ。」と声を高めたところ、父親は、「お前見たのか。」と言ったそうです。このエピソードを紹介したあと、著者は、自分の講演を父親が聞いたら、「おまえ、人生を見たのか。」と鼻で笑われそうで顔が熱くなる。父は、こうしてときおりぼくの中に現われては、ぼくの不遜になりかかる心を戒めてくれているのだろうと書いています。

2014-02-01 Sat 18:03 | 古本

2014-02-01 Sat

鮎川信夫 「失われた街」 (思潮社) 1982年12月10日刊


 これは、昭和17年8月13日ビルマの野戦病院で病死したとされる森川義信について、友人であった鮎川が書き記したものです。鮎川はこう書いています。
 「昔、彼と一緒に歩いた夜の街をぶらつき、足下から始まる距離をたぐるようにして、いつまでも醒めない私たちの夢の歴史の根源まで遡ってみたいものだと考えた。(略)失われた街をさまよってみたが、私以外の誰も見ることのできない幻に出遭っただけであった。(略)森川のいない街はつまらない。それがこの旅の唯一のテーマであったと思う。」
 亡き森川の評伝を書ききるには、鮎川はあまりにも森川と親し過ぎたのだと
思います。

2014-02-01 Sat 17:52 | 古本

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