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2014-03-27 Thu
木山捷平「落葉・回転窓」(講談社文芸文庫)2012年12月10日刊
11の短編からなる小説集です。解説を書いている岩阪恵子は、この11の短編に底流しているのは、木山が21歳のときに書いた、「妙な墓参」という詩から受ける感じと同じであると書いています。その詩とは、
十八で死んだ処女の墓に参った。
話したこともなく
したしかったのでもなく
恋してゐたのでもないけれど
山からの帰るさ
つい墓に出て
そっと野菊をそなへた。
そしたらその女が妙に
愛人のやうに思はれて来た。
秋の陽はやわらかに照って
へんにたのしく
へんにさびしかった。
「口婚」という作品がありますが、これなどつげ義春の「赤い花」を思わせます。
2014-03-27 Thu 19:50 | 新刊本
2014-03-27 Thu
木山捷平「角帯兵児帯・わが半生記」(講談社文芸文庫)1996年11月10日刊
こちらは、「角帯兵児帯」から、「敗戦直後満州で作った歌」を除いたものに、「文壇交友抄」、「わが半生記」ほか数編のエッセイを加えた編集となっています。
「文壇交友抄」の中で、蔵原伸二郎について、蔵原の子供が小学校1年生の夏に、朝早く家にやって来て、妙にそわそわしているので、わけを訊いてみたところ、子供が生まれて始めて学校から通知簿をもらってくるので、「家にいてもそわそわするので、わざわざ私の家に来てそわそわしていたわけであった。」とか、
将棋について、井伏鱒二から「君は八段の真似をするね。文章でもポーズで書く人があるね。」と言われたとか、書いています。井伏という人は怖い人ですね。
この文庫の最後に荒川洋治が、「木山捷平は、文学になる以前の言葉のようすにも、思いを寄せつづけた人である。その思いをもつことで、遠近、無数の人を言葉のなかに浮かべることができたのだと思う。」と書いています。
2014-03-27 Thu 19:46 | 古本
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