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2014-06-24 Tue
瀬沼孝彰 「凍えた耳」 (ふらんす堂) 1996年6月22日刊
八木幹夫は、この本の帯で、「人は光に中でのみ生きる訳ではない。闇が精神の深い安堵をもたらすことを忘れてはならないだろう。」と書いています。まさにこの詩集の世界を言い表しています。
「マネー」から
やはり地の果て サラリーマン金融
自業自得で くるところまできてしまったと思う
明るい店内は清掃がいきとどき
受付の女子事務員の口調も丁寧だ
彼女は差別用語など決して口にしない
微笑みながら安心してカードを作って下さいと言う
マネーがこんなに恥ずかしいものであるとは
苦しいものであるとはね
2014-06-24 Tue 18:40 | 古本
2014-06-24 Tue
大槻鉄男 「樹木幻想」 (編集工房ノア) 1980年4月10日刊
大槻は、1930年4月に京都で生まれ、大学の教員をしていましたが、1979年1月に、48歳で亡くなっています。
彼は、同人誌「VIKING」の同人であり、この本は、生前親交のあった山田稔らによって編集されたものです。
詩集「爪長のかうもり」から「骨」
火葬場から出た骨には目方がない
目方のない この白い骨の群れ
ひとびとの目は失はれた目方のために重い
だがこの骨には目方がない
中世石像のやうな
かたく冷たい頬を黒い衣にのぞかせて
この沈黙を聞く あなたは誰か
この沈黙が聞くものは何か
2014-06-24 Tue 18:30 | 古本
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