Renkei日記 - 八十島法律事務所

2013-02-21 Thu

山中散生「JOUER AU FEU(火串戯)」 ボン書店 昭和10年6月25日刊


 山中の第一詩集がこれです。タイトルは火串戯と書いて、火遊びと読みます。山中は、シュールレアリストであり、シュールレアリスムの正しい紹介者でした。
 なので、
   君はうなぎ丼あなたは鯛めし僕は癇癪
   折鞄は網棚へ、明日なら歳が喰べられた
 というものもありますが、こんなのもあります
        雨の脚
   僕のアンブレラのなかには君もゐる
   この窓あの屋根を下ってもろもろの口笛も戻る
   君はそんなに耐へかねてゐる
   僕はそんなに剛情だ
   小鳥たちが超え聲を落として羽搏くこともやる
   夕暮が夜に呑まれた
   僕のアンブレラのなかには僕はゐない
 当時この本の装幀上の特色(用紙は山家紙、外装はカス入り楮紙)が、フランスのシュールレアリストに大きな反響を与えたそうです。

2013-02-21 Thu 21:25 | 古本

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