Renkei日記 - 八十島法律事務所

2013-03-08 Fri

清水昶 「詩は望郷する」 (小沢書店) 昭和60年8月20日刊


現代において詩を作るとはどういうことかとか、石原吉郎や辻征夫、北村太郎、黒田喜夫といった詩人たちについて書かれたエッセイ、評論集です。
 なかで、詩人天野忠と作家三島由紀夫を対比して、次のように分析しています。
 人間皆平等という発想はニヒリズムなのである。自分と他人との間を区別する個人性を喪失させてしまうからだ。天野忠は、そういう世界こそが人間を支えるものであり人間ひとりひとりが意味を持って生きているとかんがえること自体、傲慢すぎると思っている。
 逆に三島由紀夫は人間ひとりひとりに意味があるからこそ、自分の個人性を中心にしても世界は動かせるとかんがえていた。
 しかし現実には生理としての老いがあり死がある。三島は命という自然に絶望したのだ。
 天野忠も、同じく絶望している。両者はただ生の見方がみごとに正反対なのである。
 また石川啄木についてはこんなことを言っています。
 現在啄木について語ることは憂鬱である。とくに「時代閉塞の現状」について語ることは。何回も読みなおしたけれど、読みなおす度に、何だ、これは、いまの時代と同じではないかといったしらじらしい思いに駈られるからである。

2013-03-08 Fri 21:26 | 古本

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