Renkei日記 - 八十島法律事務所

2013-04-05 Fri

大岡玲編「文芸誌『海』精選対談集」(中公文庫) 2006年10月25日刊


1969年に刊行され、1984年に休刊した文芸雑誌「海」に収録された対談から、大岡玲が厳選した10篇を収めたものです。
 内容を大きく分けると、昔話系が5編、批評系が4篇、訳が分からん系が1篇といったところです。
 昔話系では、里見��が、志賀直哉との対談の中で、泉鏡花が一番はじめにもらった原稿料が、5合入りの醤油ビンだったとか、お正月には、作家は出版社に挨拶に行ったとか言っています。また埴谷雄高が、野間宏との対談の中で、武田泰淳は、行くと必ず一升びんを机の上に置いて書いていて、「酒でも飲まなかったら、恥ずかしくって書けるかい。」と言っていたことを話したあと、「この恥ずかしいということは決定的だ。生きていること自体が恥ずかしい。それがぼくたちにとって当たり前の出発点ですね。」と言っています。
 批評系では、川崎長太郎が、水上勉との対談の中で、徳田秋声の生活に追われて文学のことなんかおちおち考えている余裕がなかったという発言を紹介したあとで、もし生活の心配がなかったとしたら、果たして秋声文学が生まれたかどうか非常に疑問であると言っています。このほかにも、吉田健一について論じた、河上徹太郎と丸谷才一の対談、谷崎や三島について論じた、円地文子と中上健次の対談が収められています。
 そして、訳が分からん系というのは、土方巽と唐十郎の対談で、はたして話がかみ合っているのかどうかも分かりません。

2013-04-05 Fri 22:43 | 古本

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