2012-02-23 Thu
吉行が、20歳から22歳のころ、終戦前後の時期に書いていた詩や、詩にまつわるエッセイ、亡父吉行エイスケのこと、吉行エイスケの詩などからなる本です。吉行と父エイスケの詩を比べてみましょう。
吉行 <盛夏> 1945・8・6
白い蝶は舞い上がり 絵画館の円屋根から
蒼穹の青に紛れようとすれば
そも蝶々なんぞあんなに高く飛んでいいものだろうか
木陰の午睡に呆けた独りごと
エイスケ <なだかな夜>
雨も散らないにあまだれが ぽてりぽてりと胸になく
今酔いさめて空見上ぐれば まばらな木の葉をこして月が座ってる
一人なだかなこの夜をば
雨も散らないにあまだれが ぽてりぽてりと胸になく
ちなみにエイスケの詩は、一番ダダっぽくない詩を選んでいます。
2012-02-23 Thu 19:14 | 古本
2012-02-23 Thu
著者は、この本について、次のように書いています。
幼いころ虚弱児で、不適格者の思いがつよく、ぜんたい何事にも、つねづね無能非才を知らされてきた。それが、17・8歳の大学入学前後に、難破するそのたびごとに避難ブイのようにあった面々を取り上げた。
その面々とは、天野忠、和田久太郎、尾形亀之助、淵上毛銭、鈴木しづ子、辻まこと、つげ義春です。
その結果悟ったのは、およそありとあらゆる悪なるは力をその源にしているのであれば、力を抜け、弱いものは弱いままに、足らぬものは足らぬままに、病むものは病むままにということであった、そうです。
2012-02-23 Thu 18:53 | 新刊本
2012-02-15 Wed
人間の心は、毎日、矛盾したことを幾度となく考えるものだ。人の心は、都合のよい嘘を信じようとするものだ。しかし同時に、自分をなぐさめるための嘘が必要になるような、痛ましい真実もちゃんと理解している。そして人の心は、嘘と真実を同時に信じた自分に罰を与えようとするのだ。
以上イチイの木の怪物の言葉でした。
2012-02-15 Wed 19:59 | 新刊本
2012-02-15 Wed
痕跡本とは、古本の中に、前の持ち主の「痕跡」が残された本のことです。
古本の中にレシートが挟まっていたくらいであれば、面白くもなんともないのですが、この本に出てくる「痕跡」は、結構すごいものがあります。ここまですごいと、市場には出ないので、古書店主ならではの著作と言えます。
マイナス要素を逆手にとって、しかもそこに物語性を見出したところが、とてもすばらしいと思いました。
2012-02-15 Wed 19:47 | 新刊本
2012-02-13 Mon
日記は、自己と正面から向きあい対峙する手段ではなく、むしろ“もう一人の自己”をつくりあげることによって生の不安を軽減し、慰藉をもたらすための道具にすぎない。
このような二元的な意識の背景として見え隠れしているのは、私たちの意識を育む社会そのものに内包されている二元性―例えばタテマエとホンネ―であることはいうまでもない。
なるほどねー
2012-02-13 Mon 19:02 | 古本
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