2012-12-12 Wed
「回想の」でやったことをすべて小説でやったのがこの本です。先の「回想の」に入れていた「半巨人の肖像」という作品をこの本にも入れています。
小林は、59年に、乱歩の要請で、「ヒッチコックマガジン」の編集長に就任しましたが、この作品集は、その前後から、編集長を辞める62年ころまでの時代について書かれたものです。
中でも「男たちの輪」という作品は、最初に構想したのが71年ころで、形にしたのが91年ということで、20年後のことでした。この作品について、小林は、「時代に遅れた二人の男が原っぱをさまようのを書きたかった。」と書いています。
小林のいう時代とは、にせの重厚さ、荘重さを身に鎧ったある種の文化人、彼らに象徴される権威主義的な教養に反抗するのに「遊び」をもってすることができた時代であり、それがいつのまにか、「遊び」が一般に受け入れられてしまい、妙に物分りのよい評論家や文化人が増えてきたことに対する違和感のようなものを描いています。
2012-12-12 Wed 17:57 | 新刊本
2012-12-12 Wed
元本は、乱歩生誕100年である1994年に発行されています。
内容は、乱歩の下で働いた経験を持つ小林兄弟の対談、乱歩についてのエッセイ、そして乱歩の下で働いていたころのことを描いた小説で構成されています。
小林は、乱歩に対する正当な評価およびイメージを持ってもらいたいとの想いで、この本を出しています。
解説を書いている坪内祐三は、マニアックな分析とともに、この本が、20年以上の時をかけて見事に完結した作品となったと評しています。
2012-12-12 Wed 17:47 | 古本
2012-12-12 Wed
2012-12-12 Wed 15:59 | -
2012-11-14 Wed
これは、本の雑誌の別冊で、古本にまつわるエッセイや古本好きによる座談会、果ては4コマ漫画まで収められています。装幀は、平野甲賀です。
古本好きには大変楽しめる企画ですが、そうでない人にとっては、信じられないことがたくさん出てきます。
例えば、座談会の中で、「2001年は2800冊ぐらいですね。そのうちダブリが314冊。」、「ぼくは1374冊中ダブリが487冊。」、「集めて楽しい売って楽しい、さらに読めるという付加価値まである。」、「読みたい本って家で探すよりも古本屋で買ったほうが早いですからね。」、「苦労して探した本を2000円くらいで買うじゃないですか。その翌日百円で見つけちゃうと悔しくて買わずにいられないんですよ。」、「本気の人たちはすごいですよ。閉まっている古本屋も開けさせる。」といった発言が出てきます。
いやあ、実に励みになりますね。
2012-11-14 Wed 19:04 | 新刊本
2012-11-14 Wed
編者は荻原魚雷で、出典を見ますと、全集に収められていないものからも拾っていることが分かります。この第3巻は、「作家」と題されていて、書くこと、読むこと、作家として暮らしていくことなどについてつづったものを収めています。
解説は荒川洋治で、吉行の文章について、「軽快だが、だいじなところに、やはり、ふれる。さらにふれているのに、ふれていることが目立たない。そこが涼しい。気持ちのいい文章だと、ぼくは思う。」と書いています。
しかしなかには、オヤッと思うほど熱い文章もあります。例えば、「敗戦を軍国主義と画一主義の崩壊とみなして、自分たちの敵が負けたという錯覚を持った人が多かった。私もその一人である。」、「戦争で死んだ人達は、強制的に犬死させられたのである。後に残った人々がそう認識することが、彼らに対する『慰霊』なのである。」などがそうでしょう。
2012-11-14 Wed 18:44 | 古本
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